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(原題:The Dark Knight Rises)

Why do we fall ?
人はなぜ落ちる?

クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズ完結編。「ダークナイト」から8年後を舞台に、ゴッサム・シティを破壊しようとする残虐な殺し屋ベイン(トム・ハーディ)と戦い、謎に包まれたキャット・ウーマン/セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)の真実を暴くブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の姿を描く。

まず、何から言えばいいのか分からない。それほどこの映画の持つパワーは圧倒的で、レビューを書かなくとも、とにかくこの映画を見てくれと言いたくなってしまう、そんな作品だ。

でも、ノーランバットマンの大ファンのひとりとして、考えがまとまらないままに、書いていこうと思う。もちろん、ネタバレありなので、まだ見てない人はご注意ください。

まず、本作をノーランが作るんだよ〜って話はだいぶ前から聞いていたんだけど、実際ビジュアルとして初めて私が見たものは、アン・ハサウェイ扮するキャットウーマンの画像だった。バット・ポッドに乗る彼女の美しい姿。その一枚の写真を見ただけで、「これは間違いないな」と直感し、その後の心臓バクバク感は半端なかった。

前作ダークナイトの時なんて、次回作ではジョニー・デップがリドリーをやるだの、誰それがペンギンをやるだの、あれが出る、これは出ない、という憶測が無数に飛び交い、そのどれもがノーランバットマンの世界観に合わないような気がして、とても不安だった。だからこそ、この一枚の超クールでセクシーなキャットウーマンを見た私の安堵と喜びといったら、筆舌に尽くしがたい。


それからだいぶ経って、ある日、映画館で黒いチラシを発見。わ、ダークナイトライジングだ!!!と叫びはしないものの、目玉をひん剥いてそのチラシに飛びついた私は、更に驚愕することになる。

最初に貼った画像と同じデザインだったのだが、“伝説が、壮絶に、終わる”なんてコピーがついた意味深な写真。砕かれたマスクの向こうに去っていく巨体。すごい。ファンの心理を見事に翻弄している。

そして極めつけが公開された写真と予告編で「日中のバットマン」という異様な光景を目にしたときだった。明るいうちにバットマンがいたことなど、今まで私は見たことがなかった。原作を読んだことがないからなのかもしれないが、絶対に日中とバットマンは相容れない要素だった。この演出はすごくいい。

しかも、キャストが次々に判明する中、あの巨体=ベインを演る俳優がトム・ハーディだと知り、そして我が愛するジョゼフ・ゴードン=レヴィットまでも出演するとなれば、これはもう、見てもいないのに夢に出てくる勢い。

トム・ハーディの役作りは凄まじい。というか、ベイン役にトム・ハーディを起用したノーランの眼はもっと凄い。

(500)日のサマーやノーラン監督作インセプションに出演し、キュートでスマートな雰囲気で女子のハートを鷲づかみにしたジョゼフ。過去にヒース・レジャーと共演した過去を持ち、ヒースとすごく似ていると巷では評判。

ノーランバットマンは、過去の記事でも触れてきたが、「ヒーロー」の描き方がかっちょいい。それはもういまさらここに書かなくてもいいくらいなのだが、ビギンズでは一人の人間として運命の崖から転落し、深い闇の底から再び生きる意味を見出す姿、ダークナイトでは絶対悪に対しても真のヒーローとしてのルールを守りきって戦い抜く姿と、人々に悪だと思われようともそれでも人々のためにヒーローとして生き続ける道を選んだ闇の騎士の姿が描かれてきた。

本作では、彼は最愛の人レイチェルを亡くした悲しみに打ち沈んでいた。デント法によってゴッサムの街は平和に包まれ、もう8年もブルースの出番はない。やっとブルースはブルースとしての生活を取り戻したのだ。レイチェルには、ブルースがバットマンにならずに済むその時を待っていたことがあった。バットマンをやめれば、共に生きていこうと思っていたのだ。ブルースはやっとその約束を果たせる時を迎えたのに、もう彼女はこの世にいない。お屋敷で隠居同然の生活を送る中、大切な真珠のネックレスがキャットウーマンに奪われ、それが嵐の前触れかのように、この街に突如としてベインが現れる。そして、元孤児院で生活していたジョン・ブレイクが彼の元を訪ね、バットマンが必要だと訴えかけてくる。

ニュースを見るブルースの眼に静かな光が灯る。その様子に気づいた執事のアルフレッドは、彼を自分のクビを賭けて阻止しようとする。そして、レイチェルの遺書の存在を明かす。

しかし、それでもブルースはヒーローである道を選択するのだ。

古傷が体のあちこちを蝕み続けているが、ブルースはバットスーツに身を包み、ベインへ果敢にも挑む。だが、ベインはあまりにも強すぎた。ブルースは、再び転落する。それはビギンズでコウモリだらけの井戸に落ちた日を思い出させる。そして、心が闇の底に墜落したあの日のことも。だが、本作の転落は、ブルース自身が選択したわけではない。ベインによって深い深い穴の中に閉じ込められてしまうのだ。

遥か上方には出口が見えるのに、誰もこの穴から脱出できた者はいない。ただ一人を除いては。

穴の囚人によると、その一人は、ベインだと言う。ベインは言った。「目の前に希望があるから、真の絶望を味わう」

ベインはブルースを殺さない。それは、ブルースが死を望んでいるから。死は彼にとって苦痛ではないと、ベインは知っているのだ。ブルースにとっての一番の拷問は、ゴッサムの街と人々が絶望に沈んでいくこと。ブルースの傍らに大きな液晶画面を配置し、そこでゴッサムの街が破壊されていく様子を映し出すのだ。それが、ブルースにとっての一番の苦痛なのであり、恐怖なのだ。

ブルースは体を鍛え、穴から脱出しようと試みる。ロープを体に巻きつけ、壁をよじ登り、足場から足場へジャンプする。この最後のジャンプが成功すれば、脱出できるのだ。

だが、何度挑戦しても成功しない。その間にも、ゴッサムは混沌に包まれていく。

何度目かの挑戦に失敗し、ロープに吊るされるブルース。やがて、意識を失う。

「人はなぜ落ちる」

ブルースの脳裡に見えるのは、亡き父の姿。父は我が息子ブルースが井戸に落ちた時、こう問いかけた。そして、続けて父は言った。「這い上がるためさ」

ブルースは再び自分の心を奮い立たせる。気力はあるが、壁によじ登るも、やはり成功しない。

囚人は言う。「お前は死を怖れていない。それは強さではない」
そう。死を怖れないのは強さではない。死を怖れ、それを乗り越えてこそ、真の強さとなるのだ。

唯一脱出したベインとブルースの違いは何だろう。

「命綱なしで」

囚人の言葉に、ブルースははっとする。命綱をつけないことによって、本当の死への恐怖が沸き起こる。その恐怖こそが、生への執着。そこで初めて、生へと向かう、秘められた力が発揮されるのだ。

ロープをつけず、ブルースは這い上がる。昇る。ライジング。

彼は自分の生を肯定し、そして死に恐怖し、巨大な邪悪と対峙する。それはもうバットマンではない。白昼堂々と、敵に立ち向かった、ひとりの人間である。

そして最後、バットマンがある決断を下す。そこで、この会話だ。

まず原語で。
Gordon:I never cared who you were...
Batman:I know.
Gordon:...but shouldn't the people of Gotham know who the hero was that saved their city?
Batman:A hero can be anyone. Even a man doing something as simple and reassuring as putting a coat around a little boy's shoulders to let him know that the world hadn't ended.

私の適当な訳↓↓
ゴードン市警本部長(以下G)「僕は君が誰なのか知ろうとしなかった」
バットマン(以下B)「わかってる」
G「ゴッサムの人々は、この街を守ったヒーローが誰なのかを知っておくべきじゃないだろうか」
B「ヒーローは誰にでもなれる。それは小さな少年の肩にコートをかけ、“世界は終わりじゃない”と励ますような男だ」

このシーン、もうボロ泣きでした。このセリフがこの映画の重要なキーワードなんですね。
今の私達自身が、そのまま誰かのヒーローになれる。くさいけど、バットマンとゴードンだからこそ、響くんです。

このシーン、消されるかもだけど、動画があるので、ぜひ。「バットマン ビギンズ」のシーンです。


まず、お願いしたいのは、絶対に「バットマン ビギンズ」を鑑賞してから、本作に臨んでほしいということです。ブルースがなぜバットマンになったのか、なぜベインたちが存在するのか。その理由付けになっているからです。

で、どんでん返しがこの作品にはあるのですが、私はそのどんでん返しは失敗だったかなと思います。ないほうが、もっとかっちょいい映画になったのではないかなと。でも、それでも★五つです。

そしてラストのそのまたラスト、あいつが、やがてあいつだと判明する。ここはネタバレしないでおきます。だから何を言ってるのか意味不明ですが笑 思わずニヤリとしてしまいます。

すごくいい感じの映画でした。終わってしまってとても淋しい。ワールドプレミアで、凄惨な事件が起きて、とても悲しかったです。悔しいし、許せない。

2012年を代表する作品でしたので、絶対絶対見てください!

予告編


公式HP

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2012年 アメリカ イギリス
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、アン・ハサウェイ、トム・ハーディ、マリオン・コティヤール、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、モーガン・フリーマン他

自己満足的評価 ★★★★★




 

君の趣味は何だ?

――復活だ。

「007」シリーズ第23作で、前2作に続き、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる。各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したM16のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追い詰めるが、M16の長官M(ジュディ・デンチ)の命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。しかしその直後、リストを奪った犯人によりM16のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。

人生で初めて「007」を見ました。今まではこんな“ザ・男のための映画”なんて見てやるものか!と思っていたのですが、単なる食わず嫌いだと判明。そもそも、私がなぜ本作を見ようと思ったのかというと、それはベン・ウィショーという俳優が出演しているから。ただそれだけです笑 彼が出演していなかったら、私は確実に見てなかったです。

ベン・ウィショーを初めて認識したのは「パフューム ある人殺しの物語」という作品です。しかし、これは飽くまでベンをベンだと認識した映画。彼を初めて見たのはまた別の作品で、「アイム・ノット・ゼア」というボブ・ディランの半生を描いたものでした。しかし、この時はただヒース・レジャー目的で見ていたので、全くベンを認識していませんでした。

ベンは本作で「Q」を演じています。私は007を知らないのでこの役柄のこともさっぱりだったのですが、“Quartermaster”(軍事需品係)の頭文字から取ったということです。

彼の登場シーンはとても素敵でした。面識のない新しいQに会うために美術館に来たボンド。ソファーに腰かけ、ウィリアム・ターナーの絵を眺めていると、突然、髪の毛ボサボサでくたくたのモッズコートを羽織ったぱっとしない青年が隣に座ってきて、「古くなった戦艦はただ解体されていくだけ」などと親しげに話しかけてくる。ボンドはすぐにその場を去ろうとするが……


「僕が新任の武器開発係です」とQが微笑みかけてくるではないか。

「冗談だろう」とボンドが驚くと、Qは平然と「なぜですか? 白衣でも着るべきでしたか?」的なことを言う。

ボンドが「まだニキビ面だから」とちょっと見下した感じで答え、Qは顔は関係ないと反論。そしてボンドに新兵器の小型発信器とワルサーPPK/S 9mmを渡す。これは掌紋認証装置つきで、ボンド以外の人間には銃を撃つことが出来ない仕様になっている。

ボンドが「冴えないプレゼントだな」と言うと、「ペン型爆弾の方が良かったですか? あれでは古すぎます」といなすQ。二人は皮肉言い合い合戦に突入した。

たぶん、Qは若造のくせにプライドが高いのでしょう。軽くピキっときたのかもしれませんが、ボンドに向かって「あなたが一年かけてやってきたことなんて、僕が家でパジャマ姿のままPC上でやってのけちゃえるんですよ」と応酬するのだった。怖いもの知らずだ、このオタク男。

ボンドは「じゃあ、なぜ俺が必要なんだ」と微妙にケンカごし。すかさずQは「そのためには、銃を撃たなければならないからです」と。

ボンドは言う。「撃たない必要もある。パジャマ姿の君にはわからないだろう。Q」
Qはボンドの姿をしっかりと見て、答える。「007」
固く視線が結ばれる。

このシーン、萌える笑
むしろ、Q主役のスピン・オフ作ってくれないかなぁ〜。切実。

この映画、“古いもの”と“新しいもの”がテーマの根底にあると言える。あまり語るとネタバレになってしまうのだが、その一つの象徴がこのボンドとQの初対面のシーンである。Qが今まで高齢だったのが、今回はニキビの目立つ若造に世代交代している。

このシーンだけではなく、新旧の概念は随所に散りばめられている。ボンドは古いものを愛用していたり、ボンド自身の体が老朽化しているような感じだったり、また、スパイ(諜報機関)全体の存在意義すら古いと言われ消されようとしていたのだ。

そこでボスであるMもリストが奪われた責任で引退を勧められていたが、断固拒否。その上、スパイがいかに必要な存在であるのかを自分の命を賭けてでも訴えかけたのだ。

古いから新しいものを――という現代の風潮を投影しているようにも見受けられる。しかし、古いものがあったからこそ、新しいものが生み出されていくのだということを忘れてはいけない。

敵役シルヴァを演じたのはハビエル・バルデム。彼の演技は「夜になるまえに」や「ノーカントリー」で痛いほど見せつけられてきた。彼は天才だと思う。ボンドガールを心底恐怖に陥れるほどのつわものという設定だが、いまいちそんなに恐怖は感じない。怖いのは怖いのだが、ハビエルの演技の凄さはそこではない。むしろ、彼がなぜリストを奪い、M16を爆破したのかという動機には人間らしい血が流れており、まさに「生にしがみつかれた」という秀逸なセリフが物語っているように、彼は彼なりに愛情があったのだ。かなり歪んだ愛情だが、物語を通じて一番感情移入した人物は、他ならぬこのシルヴァだったりする。ボンドを捕まえてネズミの話をするシーンや、上顎を抜くシーンや、ラストのあのシーン、全部が全部、人間らしかった。シルヴァをただの冷酷な悪で終わらせなかったのは、ハビエルの演技の賜物でもあろう。もちろん、悪なので、真似してはいけませんが。

007は意外に私の肌に合っていた、というのが結論。スパイの厳格なルールによって殺されかけたボンドとシルヴァ。シルヴァは憎しみに囚われ、スカイフォール(落下)した。しかし、その苦しみや悲しさをすべて背負い込んで「復活」し、真にスカイフォール(※)してみせたボンド。もう彼は古くはない。新しいのだ。

※スカイフォールの意味:天が落ちようとも(世界が終わろうともの意)正義を成就させよ

予告編

公式HP

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2012年 イギリス、アメリカ
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、ベン・ウィショー他

自己満足的評価 ★★★★☆




 

――自由とは魂が呼吸する権利、

呼吸を奪われた魂は絶命する――。

深い心の傷を負った天才青年と、同じく失意の中にいた精神分析医がお互いにあらたな旅立ちを自覚して成長してゆく姿を描く感動のヒューマン・ドラマ。ボストンに住む青年ウィル(マット・デイモン)は、幼い頃から天才ゆえに周囲から孤立していた。だが、彼の才能に気づいた数学教授のランボー(ステラン・スカルスガルド)は、ウィルに精神分析医のショーン(ロビン・ウィリアムス)を紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気づいた政府機関や大企業が接近してくる。

この映画は、ずーっと前から見たかったのですが、レンタルショップにリクエストしても「この作品はセル専門ですのでレンタル商品としてはお取り扱いできません」ときっぱりと言われていた作品でした。しかし、この間ショップに行くと、思い切り目立つところに陳列されていて、見間違いかと思って二度見してしまいました。でも、確かに本作だったんです。しかもBDが!!

この作品、見たくてもずっと見れなかったせいで、期待度もかなり高かったのですが、鑑賞し終えた瞬間、大満足のため息が出たことは言うまでもありません。これは、間違いなく名作傑作です。

ウィルは現役の一流大学生でも解けない問題をすらすらと解いてしまう飛び抜けた頭脳の持ち主。しかし、その頭脳のせいで周囲へ疎外感を抱き、心を閉ざし、暴力に明け暮れる毎日を過ごしている。仕事は清掃員だったが、度重なる暴力事件のせいでクビになる。そんな中、ウィルが大学の構内にある黒板に難問を解いた数式を書いているところを教授ランボーに見つかる。少年院送りにされそうになったところをランボーが身元引受人として預かることになる。条件は数学の難問を解くことと、セラピーを受けること。

ウィルはセラピーなど絶対に受けたくないと拒否するも、少年院送りになることを考えると得策ではないと思い直し、ランボーの提示した条件を呑むことになった。しかし実際は、どんなカウンセラーも舌を巻くほどの不躾な態度を取り続けるウィルに手を焼くばかり。数人のカウンセラーが全滅したところで、ランボーは奥の手……いや、最後の手段に打って出る。それは、ランボーの旧友(?)であり精神分析医であるショーンにセラピーを頼むということだった。

この映画、メインはウィルとショーンの心の戦いである。ウィルはショーンを小馬鹿にしたり無視したりと、挑発し続ける。それに対し、ショーンは上から見下すのでもなく、下からへつらうのでもなく、対等に、ありのままの姿でウィルと向き合っていく。もう、最初から取り繕うこともせず、裸のままで対峙するのである。それは、ウィルを全力で受け止めるという彼なりの覚悟の表れなのだろうと思う。

なぜショーンはいきなり全力投球できたのか。それは彼の人柄によるところが大きいのだが、ウィルが初対面の時にとった行動も引き金となっている。

ウィルはショーンの部屋に飾られた一枚の絵画に目をつける。それはショーンによって描かれた絵なのだが、その絵についてウィルが意気揚々と得意気に批評したことにより、ショーンの心を深く傷つけてしまう。ショーンにとって絶対に触れられたくない部分に土足で上がりこみ、踏み潰されてしまったのだ。この一件があって、ショーンは打ちひしがれるどころか、誠心誠意、ウィルと戦う覚悟を決めたのだ。

私がこの映画の中で一番好きなシーンがある。台詞を記すため、ネタバレが嫌な人は注意してほしい。

ウィルとショーンが公園のベンチで会話をするシーン。ショーンの言葉をのらりくらりとかわして、まるで向き合おうとしないウィルに対して語った台詞だ。


“君が絵について言ったことを考えた。眠らずに考えた。ある結論が出て、その後君のことを忘れてぐっすり眠った。その結論を? 君は自分の言葉が分かってない子どもだ。ボストンを出たことは? 美術の話をすると君は美術本の知識を、ミケランジェロにも詳しいだろう。彼の作品、政治的野心。法王との確執。セックス面での好み。だがシスティナ礼拝堂の匂いを? あの美しい天井画を見上げたことが? ないだろう? 女の話をすれば君は好きなタイプを挙げる。女と寝たこともあるだろう。女の隣で目覚め真の幸せを感じたことが? 君は難しい子だ。戦争の話ならシェイクスピアを引用。「もう一度突撃を、友よ」だが本当の戦争を? 撃たれた戦友を抱いて息を引き取るのを見守る気持ちを。愛の話をすれば、君は愛の詩を暗唱。自分をさらけ出した女を見たことは? 目ですべてを語っている女は? 君のために天から舞い降りた天使。君を地獄から救い出す。君も彼女の天使となって彼女に永遠の愛を注ぐ。どんな時も……癌に倒れても。2カ月もの間、病院で彼女の手を握り続ける。医者も面会規制のことなど口に出せない。自分への愛より、強い愛で愛した誰かを失う。君はその悲しみを愛を知らない。今の君は生意気な怯えた若者。だが天才だ。それは認める。天分の深さは計り知れない。だが、絵一枚で傲慢にも僕って人間を切り裂いた。君は孤児だろ? 僕がこう言ったら? 「君のなめた苦しみはよく分かる。『オリバー・ツイスト』を読んだから」どういう気がする? 僕にとってはどうでもいいことだ。君から学ぶことは何もない。本に書いてある。君自身の話なら喜んで聞こう。君って人間に興味があるから。それはイヤなんだろ。君はそれが怖い。後は君次第だ”(映画:グッド・ウィル・ハンティングより)

ショーンもまた、ウィルの心へ土足で踏み込む。それはウィルの人生を一緒に背負い込むほどの度胸と忍耐と勇気が必要だ。ウィルの表情は、責められた子どものように見える。それでいい。ショーンによってウィルの厚い皮がめくれ、ありのままの彼の姿を表出させたのだ。

これで、二人は同じ土俵に立ち、心と心をぶつけあっていく。ウィルにとってショーンは初めて自身を理解してくれた大人であり、ショーンにとってウィルは初めて自身の壁の存在を教えてくれた子どもだったのだ。

いつしか二人はお互いがお互いを求め合い、助け合っていく。その過程が見事に描かれた作品だった。特筆すべきなのは、この脚本を作ったのが、ウィル役のマット・デイモン本人であること。彼がハーバード大学在学中にこれのたたき台となる戯曲を制作し、それを友人のベン・アフレックに見せたところから、この映画は始まっていたのだ。二人が協力して作り上げた脚本は、見事アカデミー賞脚本賞を受賞している。当時は無名だった二人が起こした奇跡の物語。ぜひ、鑑賞してみてほしい。

予告編

グッド・ウィル・ハンティング IMDb

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1997年 アメリカ
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マット・デイモン、ロビン・ウィリアムス、ベン・アフレック、ミニー・ドライヴァー、ステラン・スカルスガルド、コール・ハウザー他

自己満足的評価 ★★★★★



 

羊飼いになろうと一生懸命努力してる――。

ロサンゼルスの朝、コーヒーショップで不良カップルのパンプキン(ティム・ロス)とハニー・バニー(アマンダ・プラマー)が突然立ち上がり強盗を始める。2人組ギャング、ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)がボス(ヴィング・レイムス)の命令でだまし取られたスーツケースを取り返しに若いギャング団のアパートに車を走らせ、虫けらのように彼らを殺して出ていく。その頃ボクサー、ブッチ・クリッジ(ブルース・ウィリス)がギャングのボス・マーセル・ウォレスから八百長の依頼金を受け取っていた……。

※以下、ネタバレ注意。
ちょうど近所のレンタルショップでこの作品のBDが入荷していたので、借りてみました。整骨院へ行く前にどうしても見たくて鑑賞。

ここだけの話、私はタランティーノを苦手に思う、可哀想な人間だったのでこの作品も肌に合わないかもしれないと危惧していたのですが、実際に見てみるとすごく良かったです。全体的にスピード感があって、中だるみしないし、なんといっても笑いどころのタイミングが絶妙なんです。

はっきり言ってしまうと、私はジョン・トラボルタが生理的に無理で、嫌いな俳優だったんです。しかし、この映画の彼は超セクシー!!!なぜこの俳優が人気あるのか理解できました。確かにかっこよかった。この作品だけかもしれませんが笑

私のお勧めのシーンは、間違いなく「ツイストコンテスト」です。ジョン演じるギャングのヴィンセントがボスに頼まれて、ボスの妻ミアのお守りをすることになり、レストランへ向かいます。そこで突如、ツイストコンテストが開催され、ミアが立候補。それに嫌々付き合わされたヴィンセントとノリノリのミアのツイストダンスが、最高なんです!!!笑


ヴィンセントは渋っていたのに妙に上手いし、ミアはやる気がありすぎて滅茶苦茶。温度差があるはずの二人のダンスは、一見バラバラのようで、お互いをカバーしあい、不思議な相乗効果が生まれ、なんと、優勝してしまいます。これがきっかけで、二人の間に流れる空気が気まずい沈黙から気まずくない沈黙へ変わっていったのです。この過程も好き。このシーンはyoutubeとかで何度も見返してます。

そして、ヴィンセントとジュールスの会話もこの映画では欠かせません。特に後半の二人の掛け合いは、お腹を抱えて笑ってしまいました。自ら出演を志願したというブルース・ウィリスも名演でしたし、彼が演じるブッチの大切にしている金時計の由来なんて、思い出すだけで吹き出してしまいます。

中身を明かさないトランクは、見ている者の想像にお任せするということなんでしょうかね。私は金の延べ棒を想像しました。

笑えるのにスタイリッシュでかっこいい。ぜひぜひ見てほしいです。

パルプ・フィクション日本版 予告


パルプ・フィクション IMDb

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1994年 アメリカ
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、アマンダ・プラマーマリア・デ・メディロスブルース・ウィリス他

自己満足的評価 ★★★☆☆



 

自分が余裕のある人間って思いくさって、失ったり、欲しがったりする人間を馬鹿にした目で眺めとう。

そうじゃないとよ。

そうじゃ人間はだめとよ――。

若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めているうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹かれ合うようになり……。

朝日新聞夕刊に連載され、毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した吉田修一の話題作を映画化した犯罪ドラマ。

今日、この作品を見てきました。モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門にて、深津絵里さんが最優秀女優賞を受賞したのです!それが見る動機でした。じゃないときっと見てなかったと思う。

まず言いたいのは、この映画の見所は何なのかということ。いや、皆に「ここだけでいいから見とけ!」と言っているわけではない。個人的に、今後また繰り返し見ることになるであろう作品になったことが確定したため、覚え書きのつもりで述べさせてもらう。

本当に、俳優陣の演技が半端ない。

そう、半端ないのです。深津さんはもちろん素晴らしかった。公衆電話で妹と会話している時の表情が、一番息を飲む演技だったと思う。すごい目をしてる。そして、柄本明と樹木希林は人並み外れた存在感だった。満島ひかりは超憎たらしかったし、岡田将生はかなりキモかった。すごい演技力だ。だけど、とても意外だったのが妻夫木聡。彼の演技は、過去の作品において個人的にそんなに評価できなかったのだが、本作でそれが180度変わった。ガラッと。ほんとに音が出るくらいにガラッとだ。

何がすごいって、言葉ではうまく表せないけど、あえて言うなら「目の焦点」がものすごかった。
冒頭で彼が携帯の画面を見つめる時や、車の運転をしている時、人と対面する時や食事をする時、彼の視線はその対象物を見ているのだけれど、実は「何も見ていない」ように見えるからだ。焦点はもちろん物に定まっている。しかし、その眼球がまるで洞窟のように深淵で、闇にまみれていて、物を「見れていない」ように見える。空虚で、力がない。この目の演技は、そう易々と出来ないだろう。しかし、彼の行動は対照的に動物的だ。感情がない分、内に秘められた強い本能が、ナイフの切っ先のように、その瞳の中にわずかにちらついている。でも、彼が初めてしっかりとした目で物を見つめる瞬間がある。それは、光代の手に触れようと、必死で自分の腕を伸ばす場面。詳細はあまり書けないけれど、この時の彼の両眼は、確かにある一点に集中していた。確実に、明瞭に。

それを十分堪能したあと、再び驚くはず。この映画のラストカットに。

この話題は、これ以上はネタバレになるので伏せる。

さて、この映画のタイトルは「悪人」。悪人? 祐一は間違いなく悪人だよね。でも、何か釈然としない……。あ、なるほど。これってもしかして……!

そう、この映画は、登場人物の全員が悪人なのだ。一人残らず悪人。皆さんはどうだろう。「殺人犯」と聞くと、まるで人間ではなく、モンスターかのように捉えてしまっているのではなかろうか。私ももちろんそのうちの一人である。

しかし、この映画を見たら気づくはず。あなたもそうなんですよ、あなたの中にもモンスターが潜んでいるんですよ、とこの映画は教えてくれているのだ。だから、どこか遠い世界のおとぎばなしではなく、ぐっと身近に迫る血の通った作品になっているのだと思う。

エンドロールで流れる美しい歌声。北海道出身の歌手、福原美穂の「Your Story」という曲だそう。ほんとに素晴らしいので、映画館のサウンドで体感してほしい。

悪人 予告

公式サイト

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JUGEMテーマ:映画

2010年 日本
監督:李相日
出演:妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、松尾スズキ、光石研、余貴美子他
原作:吉田修一「悪人」
脚本:吉田修一、李相日
音楽:久石譲

自己満足的評価 ★★★★☆




ここからあなたの更生の
第一歩が始まるんです――。

女教師・森口悠子(松たか子)の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見された。数ヵ月後、森口は終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその二人の生徒に復讐する。そして4月、クラスはそのまま2年生に進級。犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもっていた…。

(※ネタバレを含みますので、まだご覧になっていない方は控えてください)

本日、見てきました。ツイッターで話題騒然ということで、かなり期待に胸を膨らませながら。

一言で言うと、全く期待を裏切らなかったということ。「面白い」と簡単に評してしまうには、あまりにも秀作でした。

人の善悪に挑戦する映画は、なかなか類を見ません。この映画は数少ないうちの一つでしょう。
まず、皆さんはいかがだったでしょうか?森口が少年Aと少年Bに最初の復讐を行った瞬間、どう思いましたか?私はスカっとしました。爽快感さえ覚えてしまうくらいに。「絶対にしてはいけない悪である」ことは十分分かっていました。だけど、そう思わずにはいられなかった。

何故か。

これが人間心理の興味深いところなのです。
一瞬の間に両極端の感情が生まれる。同時に存在するわけです。それがアンビバレンスというものです。

この映画はまだまだそこでは終わらない。誰が善で誰が悪か、その判断ができないんです。善悪の概念を見事にぶち壊してくれました。“悪”と言ってもいろいろあります。些細な嘘を吐いた、物を盗んだ、人を殺した。これらがいわゆる普通の“悪”なわけです。そしてもう一つ、私の好きな映画「ダークナイト」の悪役・ジョーカーを例にしてみますと、彼は悪の行為に動機がありません。ただ世界が壊れるのを見て楽しむだけです。お金は燃やしますし、有名人になりたいわけでもないですし、褒められたいわけでも、恐れられたいわけでもない。死にたくないのか、死にたいのかも分からない。出自不明の悪です。これが“絶対悪”と言われているものだそうです。

では森口は?

彼女には動機がある。「娘を殺されたから復讐する」という動機がありますね。そして徐々に感情が露わになっていくわけです。泣くんです。人間らしい一面でしょう。更に復讐が加速し始める。関係のない人まで巻き込んでしまう。

彼の恋人は桜宮正義。「世直しやんちゃ先生」とメディアで取り上げられ、生徒の更生に熱心に取り組む教師でした。彼はHIVに感染し、発症し、あと僅かな命となります。彼は、森口が犯行に及ぼうとしているのに気づき、全力で止める。彼との間に生まれたたった一人の娘が殺されたというのに、彼は森口に復讐することを許さなかった。

だけど、森口は諦められないのです。自己の中に居座っているモンスターと対峙し、葛藤し続ける。その上で、彼女は分かっていた。そのモンスターに勝つことができないと。

そのやり場の無い情動の逃げ道が、たった一つだけあることに気づくわけです。それが“必要悪”という道です。

森口は自分の行動を正当化しようと必死になっていたに違いありません。彼女は教師であり、母親であり、桜宮先生の恋人です。正義でなければならないのです。だから、“社会の秩序のために結果的に必要な悪”の行使として、少年Aの母親を殺したのではないでしょうか。森口は最後の最後、崩れ落ちる少年Aを目の前にして、言い放ちます。『ここからあなたの更生の第一歩が始まるんです』。引き攣った笑顔は何を意味していたのでしょうか?結果的に、悪に逆らえなかった自分への、戒めだったのでしょうか?

『なーんてね』

ラストのセリフ。ここで、また私たちは善悪の概念の中を迷い始めるのです。母親は本当に殺されたのか。そこを描かなかったのが、本当に悔しくて、素晴らしい。

告白 予告


告白 公式サイト


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2010年 日本
監督・脚本:中島哲也
原作:湊かなえ「告白」
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃、芦田愛菜、山口馬木也、高橋努、西井幸人、藤原薫、橋本愛他

自己満足的評価 ★★★★☆



JUGEMテーマ:映画


天国は あなたを見て言うだろう
人を完全にするもの

それこそが愛だと――
 

原題:The Reader
1958年のドイツ。15歳のマイケル(ダフィット・クロス)は21歳年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)との初めての情事にのめり込む。ハンナの部屋に足繁く通い、請われるままに始めた本の朗読によって、2人の時間はいっそう濃密なものになるが、ある日、ハンナは忽然と姿を消す。1966年、大学で法律を学ぶマイケルは傍聴した法廷の被告席にハンナを見つける。裁判に通ううちに彼女が必死に隠し通してきた秘密にようやく気づき、衝撃を受けるのだった。

先月の25日に「Dr.パルナサスの鏡」を見に行きました。ヒース・レジャー出演の最後の映画でした。R.I.P.心より。切なすぎてまだ「Dr.パルナサスの鏡」の記事は書けそうもないので、代わりに本作について感想文をしたためていこうかと思います。

この作品、主演はケイト・ウィンスレット。しかし、当初、彼女のスケジュールの都合がつかなくなり、代役にニコール・キッドマンが起用されたそうだ。撮影が始まってから、ニコールが妊娠。降板。それによって、結局ケイトが主演をつとめることになったという、ちょっとしたハプニングがあった。そしてケイトは、この作品の演技が認められ、アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞している。文句ないでしょう。この役を演じるケイトには、非の打ち所がない。

それにしても、「朗読者」という大ヒット小説が原作なだけあって、本当に私好みの映画になっている。最近はちょっとペースが落ちたものの、私は小説を読むのが好きなのだ。だからもし、インテリな彼氏なんかが出来ちゃった場合(ないけどw)本を読んでくれたらどれだけ夢心地になれることか。いや、本気で読んでくれないだろうか。

気の強いハンナと、気の弱いマイケル。でも、その人格の本質は、見えているものとは全くの正反対だったりする。それは物語が後半に進むにつれ、如実に表れてくることになる。

20歳以上も年上の女性に一目惚れしたマイケルは、彼女の家へ訪れる。そしてマイケルは初めて女性を知ることになる。それから毎日のように、まるで熱にうかされたようにマイケルはハンナのもとを訪れるようになる。無邪気さそのもののマイケルは、いつしか生活の全てがハンナ中心となっていく。

ある日、ハンナはマイケルに本を読むように言う。マイケルの朗読の上手さに、ハンナは「順序を変えましょう。坊やが本を読んでからMake Loveということにするわ」と言う。マイケルは嬉々として、毎日様々な物語を読み聞かせる。ある時はシリアスに、ある時は感情たっぷりに、ある時は演技を交えて。ハンナは笑い、号泣し、怒った。きっと観客は気づくはず。朗読を聴いている時のハンナが、最も感情豊かで、人間らしいということに。

深く愛し合っているはずの2人にも、やがて終わりの時がくる。それはあまりにも突然であった。マイケルがハンナの家へ訪れると、そこはもぬけの殻。彼女が突如、行方をくらましてしまったのだ。
そこから何年も時が流れ、マイケルも大学生になる。長い長い月日の中、彼の心にはいつもハンナの存在があった。弁護士を目指していた彼は、授業で裁判を見学することになる。そこで、運命的な再会を果たすのだ。裁判の被告人が、まさしくハンナその人だったのだ。

ユダヤ人を収容していた監獄の看守として働いていたハンナは、殺人罪に問われていた。
明らかにハンナにとって不利な裁判であった。マイケルは衝撃を受け、そして苦悶する。

ハンナの罪の軽重は、ひとつの、たったひとつのある秘密にかかっていたのだ。
マイケルは、裁判中にその事実に思い至る。それを裁判で証明することができれば、ハンナの罪は軽くなる。しかし、彼はその秘密を言うことが出来なかった。それは、彼女を守るためでもあり、同時に傷つけることにもなった。

それからまた年月が過ぎる。何日も、何ヶ月も、何年も。そして、何十年も……。

マイケルはそこで、ある行動を起こす。それは、自分がハンナに出来る唯一の行動であった。
その行動がハンナに希望を与え、冷たい牢獄に温かな光を注いだ。マイケルから届く無数のテープ。そう、そこには、彼の朗読が録音されていたのだった。ハンナにとって、それは紛れもない、唯一の生きがいであったことは間違いないだろう。そのテープがきっかけで、ハンナは「秘密」に挑戦するのだった。

マイケルは自分と同年代の女性と結ばれるが、結局は離婚していた。ハンナとの出会いは、マイケルの人生を大きく変えていた。しかし、それは必然だったのだと私は思う。それを罪だとするのなら、私は声を大にして異を唱えたい。

涙なしでは見られない、素敵な映画である。

予告編


公式HP


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2008年 アメリカ・ドイツ
監督:スティーブン・ダルドリー
出演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、ダフィット・クロス、ブルーノ・ガンツ、レオ・オリン、アレクサンドラ・マリア・ララ他

自己満足的評価 ★★★★☆



JUGEMテーマ:映画


バイバイ、ブラックバード――。

大不況時代の1933年、銀行強盗のデリンジャー(ジョニー・デップ)は、不況にあえぐ庶民たちのヒーロー的な存在だった。ある日、シカゴのバーで、デリンジャーは一人の美しい女性に目をとめる。その女性ビリー(マリオン・コティヤール)をデリンジャーは食事に誘い、銀行強盗であることを打ち明ける。その頃、FBIは敏腕捜査官パーヴィス(クリスチャン・ベール)をシカゴに送り込み、デリンジャーを「パブリック・エネミー(社会の敵)」として逮捕をもくろむ。愛し合うデリンジャーとビリーだったが、ビリーの目の前でデリンジャーは逮捕。しかし彼は脱獄し、再び犯罪を繰り返す。

本日、映画館へ行ってきました。なんといってもジョニー&ベールの超豪華共演ですからね!!見ないと新年から後悔します。

この作品は実話を基にしています。デリンジャーという男は、当時不況の真っ只中で庶民の苦しみの根源だった銀行から、金を強奪しまくっていた。そして絶対に一般人からは金を奪わない。仲間は裏切らない。愛する女を守り抜く。それがこの男のルールなのだ。銀行が襲撃されても誰も同情しない時代。むしろ彼は英雄視されていた。たとえ刑務所に送り込まれても、即脱獄。その鮮やかな手腕は彼のカリスマ性を一層引き立たせていた。

派手な脱獄劇を終えた彼は、仲間と共に飲みに出かける。そこで彼は、一人の女性に目を奪われる。ビリーは二つの国の血を受け継いだ、貧しいながらも美しい女性だった。デリンジャーは一気に恋に落ち、彼女を口説く。これが本当にかっこいい。「I like baseball, movies, good clothes, fast cars... and you.“俺が好きなのは、野球、映画、高級な服、速い車・・・そして君だ”」いきなりこんなセリフを言えちゃうところが素敵。そして挙句の果てには「君は俺の女だ」と断言してしまっている。なんて強引。この男らしさが本当に本当にヤバい!セクシーで残酷で、そして誰よりも情熱的。すごい目を持った男だ。

一方、パーヴィスはクールでスマートな男。超優秀なFBI捜査官である。こいつが出た瞬間、寒気がした。絶対これはまずいことになる、とデリンジャーの身を案じてしまう自分がいた。パーヴィスの鋭い目線は、只者ではないことを如実に物語っている。本当は近づいてほしくないけれど、デリンジャーとパーヴィスが並んでいるシーンを一刻も早く見たい、と心の底から思った。もう、スクリーンに釘付けですよ。手は汗だらけ。

パーヴィスに追い詰められながらも、ただ一人の女性を求め続けたデリンジャー。銀行強盗でさえなければ…と何度思ったことだろうか。しかし、彼が強盗を働くことは、もはや必然であったのかもしれない。だからこそ、彼はあんなにも輝き続けられたのかもしれない。至極の純愛映画と言えるだろう。

ジョニー&ベールの共演は本当に息を呑む程でした。
近いうちにジョニー出演作の公開が2本続くので、それも見逃せません(笑)

予告編

公式ホームページ


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2009年 アメリカ
監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ、マリオン・コティヤール、クリスチャン・ベール、ジェイソン・クラーク、デビット・ウェナム、スティーヴン・ドーフ、ブランカ・カティク他
原作:ブライアン・バーロウ


自己満足的評価 ★★☆☆☆



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社会主義は扉を閉ざすのではなく

他者に手を差しのべ、共存することだ――。

アレックスの母、クリスティアーネは、夫が西側へ亡命して以来、祖国・東ドイツに忠誠心を抱いている。建国40周年を祝う夜、クリスティアーネは、アレックスがデモに参加している姿を見て心臓発作を起こし、昏睡に陥ってしまう。意識が戻らないまま、ベルリンの壁は崩壊、東西ドイツは統一される。8ヵ月後、奇跡的に目を覚ました母に再びショックを与えないため、アレックスはクリスティアーネの周囲を統一前の状態に戻し、世の中が何も変わらないふりをしようとするが…。

この間の「しゃべくり007」というバラエティー番組で、この映画が紹介されていた。泰造の熱弁に、速攻レンタルショップへ!!

東西に分かれていたドイツが統一するという激動の時代の中での、あるひとつの家族の物語である。アレックスが主人公。この青年、誰かに似ている気がするけど思い出せないwそして、アレックスの母クリスティアーネ、それを取り巻く周囲の人々との、絆と愛が描かれている。

とりま何が凄いのかというと、アレックスの行動力だ。夫が西側に女を作って逃げていったと嘆くクリスティアーネは、どっぷりと社会主義に浸かっていた。そんな中、息子であるアレックスは反体制のデモに参加し、その現場を母に目撃されてしまう。母はあまりの驚きに、心臓発作で倒れてしまった。8ヶ月という長い間、母は意識不明のまま病床に臥せていた。そこへ毎日のように訪れるアレックス。母が眠っている間、世の中は激変。社会主義は倒壊し、東西統一という名のもと、一気に資本主義の波が押し寄せた。このまま意識は戻らないかのように思えたが、8ヵ月後、母は目を覚ます。

医師の言葉では、母はもう長くないとのこと。だから、ちょっとした刺激でも死に直結してしまう、とアレックスへ警告した。このまま病院に入院させていたら、いつか母の愛した社会主義が消えていることがバレてしまう。そうなったら、母の命に危険が及ぶ。そう考えたアレックスは、母を退院させた。

家の中はベルリンの壁崩壊後、思い切り西側に染まってしたのだが、母の倒れる前の状態へまた戻した。母が「瓶詰めのピクルスが欲しい」と言えば、見付かるまで探し続ける。しかし、どの店へ行ってもあるのはオランダ製のピクルスのみ。自分の町から、東の物がどんどん消えていく。テレビ番組もそうだ。「テレビを見たい」という母の要望のため、母が意識不明になっていた間に放送された東ドイツのニュース番組を資料館から取り寄せ、隠したビデオデッキにて再生させ、母に見せていた。それが尽きると、今度は西ドイツ出身の仕事仲間であるデニスの協力のもと、ニュース番組を制作し始める。ゴミを漁っては東ドイツ時代の瓶をかき集め、そこへスーパーで買ったものを詰め替える。母の誕生日にはとっくに退職した校長や、お金目的の元教え子や、近所の人々を集め、社会主義を演じさせる。毎日毎日、アレックスは母のためだけに、周りを全て変えた。嘘をつき続けた。疲労でいつの間にか眠ってしまうほどに。その全ては、母のために。

アレックスは自責の念に駆られていたのだろう。自分のせいで倒れた母。その母のために、罪滅ぼしのために、アレックス自身が社会主義を愛した。そして、母の愛したはずの世界が消えるのを見て、反抗したのだ。共に生きてきた時代を最後まで必死で守ろうとした。かつてはデモに参加したはずのアレックスなのだが、生き方がまるで逆転してしまったのだ。

周囲の人々からは、特に姉と恋人のララからは非難の声が上がった。こんなことをしても無駄だし、母が可哀想だと。それでも、アレックスはやめなかった。彼を動かしていたのは、純粋で揺るぎない母への思いだったのだ。母は間違っていない。母の行き方は正しい。それを証明したかった。嘘でもいいから、母にだけは信じていてほしかったのだ。

だが、ある些細な事件が、アレックスに微妙な変化を齎す。

母は言った。「私はあなたたちに嘘を言っていた」と。夫は女を作って西側へ行ったわけではない。夫が亡命したのは、夫自身のためであり、クリスティアーネ自身も西へ行くつもりだったのだと。この告白を聞いたときのアレックスが、なんとも重い。ずっしりと重く、そして痛い。

ここからが本番。終盤に向け、胸が熱くなった。アレックスがデニスと共に作った最後のニュース番組。それを母と一緒に見た時の、彼の誇らしげな表情。そして、「すばらしいわ」と言った母の表情。それが、全てを物語っている。泣ける映画が見たくなった時、ぜひこの作品を手に取ってみてほしい。

日本版公式ホームページ


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2003年 ドイツ
監督:ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール、カトリーン・サーズ、チュルバン・ハマートヴァ、マリア・シモン他

自己満足的評価 ★★★★☆



JUGEMテーマ:映画


私は難聴になって聞こえた 無音がカギだ

沈黙が深まると魂が歌いだす――。


音楽学校に通う学生アンナ(ダイアン・クルーガー)は、作曲家ベートーヴェン(エド・ハリス)が楽譜を清書するコピニストを務めることになった。ベートーヴェンを尊敬するアンナは彼の粗暴な振る舞いに驚くが、一方のベートーヴェンはアンナが優れた才能の持ち主であることを見抜き、徐々に彼女に信頼を置くようになっていく。

私はベートーヴェンの第九(交響曲第9番ニ短調作品125)が大好きで、NHKで年末か年始かにテレビでやっていると食い入るように見ていたりした。めちゃめちゃ長い曲なんだけれども、やっぱり合唱の入る部分が最高の見せ場。

というわけで、この映画を紹介。というか、一方的な感想。
この作品は、ベートーヴェンの元でコピニストとして働いた3人の男のうち、最後のコピニストがもしも女性だったら?という想像によって作り出された創作である。劇中、ベートーヴェンのあまりの破天荒さに、コピニストたちが3日と持たずにやめていってしまう。そんな中、アンナという美しい女性がコピニストとして彼の元へやってくる。ベートーヴェンの悪態に、固まってしまうアンナ。男でもすぐに根をあげてしまうのに、うら若きアンナに務まるのだろうかとかなり不安になった。

しかし、アンナは聡明で気が強い。凛としている。どの時代の女性でも、はっとさせる魅力を兼ね備えている。なぜこんな悪態親父の元で過ごせるのか?それは、ベートーヴェンの人並みはずれた芸術性だけではない。彼の純粋でストイックな混じりけの無い性格を信頼していたからなのだろうと思う。確かに一刻も早く離れたい程の酷い男だ。作曲の才能がなければ今頃監獄行きである。それほどまでの人物が、物語が進むにつれ、いつしかアンナを信頼し、頼っていくようになる。なんともチャーミング!

恋愛ではない。2人は、互いの芸術性に対する愛情で繋がっている。年齢も性別も環境も、この2人の芸術的創造力の障害にはなり得ない。関係ないのだ。どこまで純粋なんだろう。こんな関係が、私にはとても羨ましい。アンナもベートーヴェンも幸せ者だ。だからこそ、この2人に嫉妬する輩が出てくるのだ。宿命である。

そして、肝心の音楽。もうね、第九のシーンはヤバいですよw鳥肌総立ち!!!何度も見返してしまいました。アンナとベートーヴェンの間に流れる空気。振動。神の息吹。これが事実だったらなぁ〜なんて一人、映画を見ながら妄想してしまいました。

他の曲も勿論素敵。個人的には月光にうっとり。うっとりというよりもとろけてしまいそうになった。
そして、なんといっても本作品の監督は、あの「太陽と月に背いて」のアニエスカ・ホランド!!今度この映画も紹介したいと思いまつ♡

予告


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2006年 イギリス ハンガリー
監督:アニエスカ・ホランド
出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グッド、ラルフ・ライアック、ジョー・アンダーソン、ビル・スチュワート他


自己満足的評価 ★★★★☆



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